2024 . 06 . 20

Design DIY みんなの「情報発信」勉強会

1997年年明け早々。
神戸で震災を経験してから2年後。
僕はある決意をしていた。

当時僕は、オート店系のトヨタのディーラで営業スタッフをしていました。会社には特に不満はくそれなりに機嫌よく働いていたので、当時の店長には本当に申し訳なかったです。

入社して丸3年。
こんなタイミングでやめて欲しくはなかったでしょうが、退社させてほしいと申し出ました。有難いことに円満に退社させてもらって、そのあと少し会社でバイトまでさせてもらった。

その年の4月。
梅田のあるデザイン専門学校の夜間に入学した。
そこで僕は初めて、インターネットと本格的に遭遇した。

ブラウン管ディスプレーにグレーの画面のYahoo!。
これ、なんて読むんだろう?
くらいのところから始まり、専攻はグラフィックでしたがWebの方がいいと思い独学でWebを学び始めます。
もっとも入学前に出会っていても、当時はまだウェブのコースがなかったと思います。

もう紙の時代じゃな。
これからはどんどんデジタル化していく。
課題なのは通信速度と解像度だけだ。
紙の仕事は淘汰され、ウェブの時代がやってくる!

なんて、思ってました。

それから25年。
多分、その通りのことが一部では起こりました。
印刷屋さんは文字通り淘汰されていきました。
でも僕が妄想しほど、紙は減らなかった。
例えば雑誌の数で言えば、部数は減ったけど種類は増えた?
本も自費出版など、種類はどんどん増えた。

そして通信速度も解像度も解決された今!
ウェブもまた淘汰圧にさらされようとは!!

ウェブ、特にホームページにどんな運命が待っているかは予想がつかない。

紙の持つ価値、手書きの価値は、これ以上はなかなか淘汰されないレベルまでそぎ落とされて、かつかなりのボリュームが残っていて、なお新しい価値を見出そうとしている。

空間-実物というところ色々な変数、たとえば体験、時間の流れ、無限に複製できない実体感などが新たな価値観の創造を促している。

それに対してウェブは今からこの25年分を、強力な淘汰圧がかかっていくであろうという入り口に立っているところです。
25年前からホームページ業界は「コンテンツの質と量を増やす」という事をずっと行ってきました。

その途中で掲示板があったり、ブログがあったり、動画があったり、SNSがあったりと、目先は変わりましたが、基本的には同じベクトルの上にあったと思います。

ところが、この先はいよいよそれもわからなくなってきた。

その兆しが見えてきたのは、デジタルネイティブの人たちの動向を聞くようになった2010年代後半からです。

どうやら彼らは「検索」しないらしい。

コンテンツの質と量の増加は、常に、検索か既知のメール、SNSのフォロワー、そして広告での発信を前提として成り立っていました。

これになれている世代は「おすすめ」をあまりあてにしていない。人気ランキングくらい。せいぜいアマゾンの買い物くらいでしか受け入れてなかった。

ところが、若い人たちは、プラットフォーム側の「おすすめ」をむしろ期待しているというのです。

「おすすめ邪魔」ではなく「もっといいおすすめを出せ」だというのです。

まだ消費のメインではない(特に僕の顧客ゾーンでは)が、彼らの動向を注視しなくちゃいけないなーと思ってはいましてけど、ちょっと横に置いておきました。
ですが最近、2つ、大きな技術的な出来事がありました。

ひとつは昨今話題の自然言語による生成AIです。

そしてもう一つが、サードパーティークッキーの規制です。
サードパーティークッキーはプライバシー保護の問題から個人情報を守るだのなんだの言ってますが、結果的に巨大なプラットフォームに資する結果になるようです。
つまりはマイクロソフトやアップルといった、自前のユーザーをがっつり持っているところにとても有利に働くそうです。

これによって今後数年のうちに、巨大なプラットフォームの価値がかなり大きく変わっていきそうです。
ホームページはそこに巻き込まれていくことになります。

彼らの胸先三寸ですわ。
マイクロソフトやグーグル、アップルがこういうユーザー体験が理想的じゃね?って決めたら、ホームページは一気にその仕様になっていくでしょう。

その時に、今のウェブ制作の技術がどれくらい役に立つか、全く想像が付きません。
この淘汰圧はこれから勉強する人はそれほど怖くないかもしれませんが、ベテランウェブ屋さんにとってはかなり・・・つまりは活版印刷の技術のように特別な付加価値なしには生き残れないような、怖い状況も考えられます。

ブラウザって概念が無くなってもおかしくないです。
そもそも、20年前になかったスマホなるものをみんな持つようなるような激しい変化が起きるわけですが、次のそういう変化があっても何も不思議ではないです。

たとえば、もし端末が「有能な執事」レベルになっていくなら、「ご主人様、今夜のディナーではこちらのレストランがおすすめです。今なら予約がすぐ取れますがいかがしますか?」くらいのこと言ってくるようになるかもしれないです。

そのとき、店舗側はどういう情報を用意すればいいのか???

Chat-GPTは要約を作るのが得意です。
そして先回りしてちょっとした提案もしてくれますよね。
そういう使い方が普通になってもおかしくないです。

もちろん、どうなるかわからないです。まだ見えていないユーザー体験上の重大な壁があるかもしれないですし、もっとすごいものが出来るかもしれないです。

少なくとも、今年アップルが発表したことは、そちらに向かってシリを(日本語対応は2025年に)アップデートするという事ではありました。

パーソナルなデータを端末側で保持し、それを端末側のAIで処理するというのです。「有能な執事」へと向かい始めています。

さて、前置きが長くなりましたが、僕もその前提で、ホームページ屋が今後どうあるべきかを考えたわけです。

というか、もやもやしているわけです。

所詮僕ですから、ただびびってあわあわしているだけかもしれません。
現時点で言えることは、

「数年後にはやがて今と同じことをしていなのはほぼ確。でもどうなるかはさっぱりわからない。」

というくらいなのですが、それでも目に見える新しい技術はいっぱいあります。

そのコアにあるのがネットワークです。
ネットワークの質の変化こそ、目が離せません。

ネットワークの変化は、いつ、どこで、誰と、どんな仕事を、どんな風にするかの選択肢をじわじわ広げていっています。

北海道にいようが、沖縄にいようが、アメリカにいようが、隣町にいようが、隣のデスクにいようが、実質変らない部分が増えています。

どの部分が?
そこがとても重要で、ここの合意を得ることによって、働き方そのものを変える、そういうレベルの変化になっています。

会わないと伝わらない?
それは実際正しくて、人はコミュニケーションに言語以外もふんだんに活用するため、実際に対面するのとメールとでは違うのは当然として、声色や表情が伝わるZOOMとでも伝わり方が大きく異なります。
でも、それはおそらく、コミュニケーション技術の問題としてかなりの部分が解決可能です。

対面を軽視するわけではないですが、技術(IT的な意味でも、個人のコミュニケーション能力という意味でも)の問題として解決できる側面もかなりあると思われます。

そうするとそれは、ちょっと大きなことを言うようですが、昨今の価値観の多様化を鑑みれば、可能性と不安を同じくらい沢山抱えた、人生の、そして社会の問題でもあるのではないでしょうか。

IT技術の進化で働く場所を選びやすくなったとしても、一人で成り立つものではありませんので、コミュニケーションの問題が壁になることもあるでしょう。

フリーランス新法もまた、その流れを促すものです。
もっとも私の知人である弁護士は、あれは将来的に税金のとりっぱぐれをなくすための伏線だと言ってましたが^^;
いずれにしても、副業を推奨している流れから言って、みんないろんな手段で自由に稼いで、ワークライフバランスを実現して、そして税金納めろ、という流れではあると思うんです。

ここで、ふと思ったわけです。

この流れで行くと、情報を共有するだけではなく、なにかしらの機能性のあるネットワークを作っていって、情報を整理して、判断材料となりうるような情報発信・・・客観的な情報ではなく、意図のある情報として共有していくような形にしていくことで、そういう多様な働き方をしたいと思っている一人ひとりの個々人が、より自由で、より自分らしい選択をするための手助けができるのではないだろうか?

そのために僕は何ができるのだろうか?
これだけデザイナーではない一般の方が使えるアプリが増えてきたのなら、いっそのことウェブやデザインの知識をもう開放してみんなに知ってもらったほうがいいのでは!?

僕が今、専門家として持っている情報は、おもにウェブサイトやデザインに関するものです。なんだかんだ言っても25年、積み上げてきたものがあります。

今後来るであろう新しい時代に向けて、僕も前向きに関与していった方がきっと楽しい。それがどんな時代であっても、ITの技術が強化されれば、逆にジジィでもできることが増えるはずなので、うまくキャッチアップしていった方が楽しいに決まっている。

というわけで、『Design DIY みんなの「情報発信」勉強会』をスタートさせます。

どんな形になるかわかりませんが、まずはウェブの情報発信で実際に役立つCanvaの使い方などを中心に、情報発信に挑戦していきます。

大きな目的な、多様な生き方をするためにクリエイティブな仕事を選択する人に向けて、有用な情報を情報交換の場を作ること。

直近の目的な、CanvaやSNSの使い方をみんなで勉強していく場を作ること。。

そして僕もまた、その流れの中から、新しい仕事の仕方を見出していきたいと思っている一人として、特に情報収集&交換&集約&発信を頑張っていこうと思います。

https://design-and-creation.com

ケイビークラフト
佐々木堅次

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